バレーボールネーションズリーグ(VNL)2023男子の決勝ラウンドが終了し、日本代表「龍神NIPPON」が3位になりました。予選ラウンドで10連勝を飾り、決勝ラウンドでも世界の強豪と渡り合った龍神NIPPONの偉業と、その背景にあるチームワークや戦術に迫ります。
予選ラウンド:10連勝で2位通過
VNL2023男子は、16チームが3週間で12試合ずつ行い、上位8チームが決勝ラウンドに進出する方式で行われました。日本は第1週の名古屋大会から快進撃を続け、イラン、セルビア、ブルガリア、フランスといった強豪国を次々と撃破しました。第2週のオルレアン大会では、カナダ、キューバ、ブラジル、アルゼンチンと対戦し、全て3セット以上で勝利しました。第3週のパサイシティ大会では、中国、オランダに勝ちましたが、イタリアとポーランドに敗れました。それでも予選ラウンドを10勝2敗の成績で終え、出場16チーム中2位で決勝ラウンドに進出しました。
予選ラウンドの試合結果と順位表は以下の通りです。
試合日 | 対戦相手 | スコア | 個人的MVP |
---|---|---|---|
6/6 | イラン | 3-0 (25-16, 25-22, 25-19) | 石川祐希(18得点) |
6/9 | セルビア | 3-1 (22-25, 25-21, 25-23, 25-20) | 宮浦健人(17得点) |
6/10 | ブルガリア | 3-0 (25-22, 25-21, 26-24) | 高梨健太(14得点) |
6/11 | フランス | 3-1 (25-27, 25-22, 25-21, 25-20) | 石川祐希(24得点) |
6/20 | カナダ | 3-1 (25-22, 25-17, 24-26, 25-14) | 柳田将洋(19得点) |
6/21 | キューバ | 3-0 (25-21, 25-16, 25-21) | 高梨健太(15得点) |
6/22 | ブラジル | 3-2 (25-23, 25-21, 18-25, 22-25, 18-16) | 石川祐希(27得点) |
6/24 | アルゼンチン | 3-2 (25-18, 25-22, 31-33, 22-25, 15-12) | 高梨健太(23得点) |
7/4 | 中国 | 3-2 (24-26, 25-23, 21-25, 25-23, 15-12) | 石川祐希(28得点) |
7/7 | オランダ | 3-1 (25-19, 26-24, 23-25, 25-17) | 石川祐希(21得点) |
7/8 | イタリア | 1-3 (27-29, 26-28, 25-23, 20-25) | 高梨健太(18得点) |
7/9 | ポーランド | 0-3 (17-25, 19-25, 18-25) | 高梨健太(10得点) |
予選順位表
順位 | チーム | 勝利数 | 勝点 |
---|---|---|---|
1 | アメリカ合衆国 | 10 | 31 |
2 | 日本 | 10 | 27 |
3 | ポーランド | 10 | 25 |
4 | イタリア | 9 | 26 |
5 | ブラジル | 9 | 25 |
6 | セルビア | 8 | 23 |
7 | フランス | 7 | 21 |
8 | スロベニア | 6 | 18 |
9 | カナダ | 6 | 17 |
10 | アルゼンチン | 5 | 15 |
11 | オランダ | 4 | 13 |
12 | ブルガリア | 4 | 12 |
13 | イラン | 3 | 9 |
14 | キューバ | 2 | 6 |
15 | チャイナタイペイ(台湾) | 2 | 6 |
16 | 中国 | 0 | 0 |
決勝ラウンド:世界の強豪と渡り合う
決勝ラウンドは、予選ラウンド上位8チームがノックアウト方式のトーナメントで優勝を争いました。日本は準々決勝でスロベニアと対戦し、ストレートで勝利しました。準決勝ではポーランドと再戦しましたが、1セットを先取したものの、その後は相手の強力なサーブやブロックに苦しみ、1-3で敗れました。3位決定戦ではイタリアと対戦しました。日本は第1セットを落としましたが、第2セットから反撃を開始しました。第5セットでは、イタリアにリードを許しましたが、石川祐希のサービスエースや宮浦健人のブロックなどで逆転し、15-13でセットを奪いました。日本は3-2でイタリアに勝利し、VNL史上初めてメダルを獲得しました。
決勝ラウンドの試合結果とトーナメント表は以下の通りです。
試合日 | 対戦相手 | スコア | 個人的MVP |
---|---|---|---|
7/20 | スロベニア | 3-0 (26-24, 25-18, 25-22) | 石川祐希(16得点) |
7/22 | ポーランド | 1-3 (25-19,26-28,17-25,21-25) | 石川祐希(19得点) |
7/23 | イタリア | 3-2 (20-25,25-21,23-25,25-22,15-13) | 宮浦健人(20得点) |
龍神NIPPONの魅力と秘密:チームワークと戦術の進化
VNL2023男子で躍動した龍神NIPPONの魅力と秘密は何でしょうか?まず、代表メンバー個々が進化を遂げたことが挙げられます。キャプテンの石川祐希は、攻撃だけでなくサーブやレシーブなどオールラウンドなプレーでチームを牽引しました。高梨健太は、高さとパワーを兼ね備えたスパイクで相手のブロックを打ち破りました。宮浦健人は、ブロックやディグで守備の要となりました。柳田将洋は、セッターとしてチームの攻撃を組み立てるだけでなく、自らも得点に貢献しました。他のメンバーもそれぞれに個性と役割を発揮しました。
次に、息の合ったチームワークや攻守バランスの良さがあります。龍神NIPPONは、一人一人が自分の役割を果たすだけでなく、仲間と連携してプレーしました。例えば、セッターとスパイカーのコンビネーションや、ブロックとディグの連動などです。また、攻撃だけでなく守備も重視しました。相手の攻撃をブロックやディグで防ぎ、カウンターアタックで得点を奪いました。特に、ブロックはVNL2023男子で最多の平均3.2本/セットを記録しました。
最後に、フィリップ・ブラン監督の戦術や指導法があります。ブラン監督は、日本代表に就任してから3年間でチームを大きく変えました。彼は、日本の伝統的なスピードバレーに加えて、パワーやサーブなどの要素も取り入れました。また、試合中にも柔軟に戦術を変えることができました。例えば、決勝ラウンドでは、相手に合わせてメンバーやポジションを変更したり、サーブやレシーブのフォーメーションを変えたりしました。さらに、ブラン監督は、選手たちに自信と信頼を与えることができました。彼は、選手たちに自分たちの強みや目標を意識させることで、チームの士気を高めました。
龍神NIPPONのメンバー
氏名 | ローマ字 | ポジション | 所属チーム | 生年月日 | 身長/体重 |
西田 有志 | NISHIDA, Yuji | オポジット | パナソニックパンサーズ | 2000/1/30 | 186cm/87kg |
小野寺 太志 | ONODERA, Taishi | ミドルブロッカー | サントリーサンバーズ | 1996/2/27 | 202cm/98kg |
深津 旭弘 | FUKATSU, Akihiro | セッター | 東京グレートベアーズ | 1987/7/23 | 183cm/78kg |
宮浦 健人 | MIYAURA, Kento | オポジット | パリ・バレー(フランス) | 1999/2/22 | 190cm/87kg |
大塚 達宣 | OTSUKA, Tatsunori | アウトサイドヒッター | パナソニックパンサーズ | 2000/11/5 | 195cm/87kg |
山内 晶大 | YAMAUCHI, Akihiro | ミドルブロッカー | パナソニックパンサーズ | 1993/11/30 | 204cm/85kg |
高梨 健太 | TAKANASHI, Kenta | アウトサイドヒッター | ウルフドッグス名古屋 | 1997/3/25 | 190cm/85kg |
関田 誠大 | SEKITA, Masahiro | セッター | ジェイテクトSTINGS | 1993/11/20 | 175cm/71kg |
大宅 真樹 | OYA, Masaki | セッター | サントリーサンバーズ | 1995/4/23 | 177cm/77kg |
髙橋 健太郎 | TAKAHASHI, Kentaro | ミドルブロッカー | 東レアローズ | 1995/2/8 | 201cm/93kg |
富田 将馬 | TOMITA, Shoma | アウトサイドヒッター | 東レアローズ | 1997/6/20 | 190cm/80kg |
髙橋 藍 | TAKAHASHI, Ran | アウトサイドヒッター | 日本体育大学4年 | 2001/9/2 | 188cm/72kg |
小川 智大 | OGAWA, Tomohiro | リベロ | ウルフドッグス名古屋 | 1996/7/4 | 175cm/65kg |
石川 祐希 | ISHIKAWA, Yuki | アウトサイドヒッター | パワーバレー・ミラノ(イタリア) | 1995/12/11 | 192cm/84kg |
柳田 将洋 | YANAGIDA, Masahiro | アウトサイドヒッター | 東京グレートベアーズ | 1992/7/6 | 186cm/80kg |
村山 豪 | MURAYAMA, Go | ミドルブロッカー | ジェイテクトSTINGS | 1998/7/30 | 191cm/83kg |
小澤 宙輝 | OZAWA, Hiroki | アウトサイドヒッター | 東レアローズ | 1997/9/21 | 186cm/83kg |
西山 大翔 | NISHIYAMA, Hiroto | オポジット | パナソニックパンサーズ | 2003/3/4 | 193cm/80kg |
築城 智 | TSUIKI, Satoshi | リベロ | ベルリン・リサイクリングバレーズ(ドイツ) | 1992/1/16 | 174cm/74kg |
山本 智大 | YAMAMOTO, Tomohiro | リベロ | パナソニックパンサーズ | 1994/11/5 | 171cm/69kg |
永露 元稀 | EIRO, Motoki | セッター | ウルフドッグス名古屋 | 1996/6/8 | 192cm/80kg |
藤中 謙也 | FUJINAKA, Kenya | アウトサイドヒッター | サントリーサンバーズ | 1993/7/25 | 188cm/83kg |
佐藤 駿一郎 | SATO, Shunichiro | ミドルブロッカー | ジェイテクトSTINGS | 2000/5/17 | 205cm/95kg |
高橋 和幸 | TAKAHASHI, Kazuyuki | リベロ | ジェイテクトSTINGS | 2000/1/26 | 170cm/61kg |
難波 尭弘 | NAMBA, Takahiro | ミドルブロッカー | 東レアローズ | 1998/5/1 | 198cm/95kg |
山崎 彰都 | YAMAZAKI, Akito | アウトサイドヒッター | ウルフドッグス名古屋 | 1997/10/16 | 190cm/75kg |
藤中 颯志 | FUJINAKA, Soshi | リベロ | サントリーサンバーズ | 1999/12/2 | 178cm/68kg |
エバデダン ラリー | EVBADE-DAN, Larry | ミドルブロッカー | パナソニックパンサーズ | 2000/8/18 | 195cm/86kg |
山本 龍 | YAMAMOTO, Ryu | セッター | ディナモ・ブカレスト(ルーマニア) | 2000/9/23 | 185cm/85kg |
甲斐 優斗 | KAI, Masato | アウトサイドヒッター | 専修大学2年 | 2003/9/25 | 200cm/79kg |
高橋 慶帆 | TAKAHASHI, Keihan | オポジット | 法政大学2年 | 2003/10/13 | 193cm/78kg |
麻野 堅斗 | ASANO, Kento | ミドルブロッカー | 早稲田大学1年 | 2004/12/24 | 206cm/93kg |
備 一真 | SONAE, Kazuma | リベロ | VC長野トライデンツ | 1998/1/6 | 168cm /67kg |
新井 雄大 | ARAI, Yudai | アウトサイドヒッター | JTサンダーズ広島 | 1998/6/27 | 188cm /85kg |
樫村 大仁 | KASHIMURA, Hirohito | ミドルブロッカー | サントリーサンバーズ | 1999/1/15 | 196cm /92kg |
三輪 大将 | MIWA, Hiromasa | ミドルブロッカー | VC長野トライデンツ | ||
フィリップ・ブラン | BLAIN, Philippe | 監督 | 公益財団法人日本バレーボール協会 | 1960/5/20 |
まとめ:パリ五輪へ向けて
VNL男子2023は、ポーランドが優勝し、アメリカ合衆国が準優勝、日本が3位になりました。日本はVNL史上初めてメダルを獲得し、世界にその存在感を示しました。パリ2024出場枠をかけたワールドカップ2023に向けて、さらなる飛躍が期待されます。龍神NIPPONの応援よろしくお願いします!
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